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年間パスポートに見るケビンさんと高章さんのターゲット

2014年11月17日にピューロランドの実質的な年間パスポートが大人10000円で小人8000円で2015年4月から2016年3月末まで利用可能との発表がなされた。自分はピューロランドは年間パスポートの廃止か値上げかのどちらかだろうと予想していたところ、ふたを開けてみたら値下げという想定外の発表であった。この値下げの背景は語られていないが、ケビンさんと高章さんとでターゲットとしている想定顧客が異なるのではないかと予想した。

更新履歴

  • 2014-11-17
    • 初版
  • 2014-11-18
    • ピューロランドの公式発表で期間パスポートによる年間パスポートの延長がなくなったため更新
    • その他
  • 2014-12-03
    • 予定されていた「期間パスポート」が中止になり「新年間パスポート」となった旨を追記

今までの年間パスポートとの比較

今までの年間パスポート相当のものの比較を行う。ここでは簡単のために金額は大人の料金のみを記載。

2009年11月以前は年間パスポートはなし。

2009年11月から2014年3月までは15000円で購入日から1年間有効の「年間パスポート」があった。当初は枚数限定だったが、想定よりも売れなかったのか、想定以上に需要があったためか、枚数限定は解除された。

2014年4月からは購入時期に関係なく2015年3月末までが期限で平日のみ利用可能な平日限定パスポート (「期間限定平日パスポート」が正式名称だがここでは通称の平日限定パスポートと書く) が12000円で提供されていた。休日に使いたいときは2000円が必要。2014年3月中に旧来の年間パスポートを新規購入しておけば2015年3月末で有効という措置が取られているため、この平日限定パスポートは価値なし。

今回発表された2015年4月からの「期間パスポート」は購入時期に関係なく2016年3月末までの期限で平日休日の区別なしで10000円の実質年間パスポート。実質の年間パスポートなので、従来の年間パスポートとこの期間パスポートの総称として年間パスポートとここでは記述することもある。

期間パスポートのデザインは3種類。平日限定パスポートを所持していていれば2014年12月6日から2015年3月31日も含めてパスポートとして利用できる。

最初の情報ソースは、「いつでも、何度でもピューロランドに行ける!「期間パスポート」の先行販売12/5(金)スタート!」である。

ピューロランドの公式サイトでも一時的に http://www.puroland.jp/2014_passport/ で情報が乗っていたが、その日のうちに取り下げになった。翌日の18日に再度公開されたが、2014年12月6日から2015年3月まで期間パスポートを利用できる条件が変更になっており、平日限定パスポートのみが対象で年間パスポートは対象外となった。

(2014-12-03 追記) 12月3日には「期間パスポート」が中止になり「新年間パスポート」となった。後述。 (追記ここまで)

いったん廃止の方向に向かった年間パスポートを復活させ、なおかつ値下げまで行ったのはなぜなのか。

歴代の経営トップ

年間パスポートの方針転換を考えるためにまずは歴代のピューロランドの経営トップをまとめてみる。

佐藤館長

ピューロランドのトップは長らく佐藤誠館長が務めていた。一時的に平塚さんがトップだった時もあったが、2013年6月まで館長はこの佐藤館長だったため、館長ではなくなった今でも佐藤館長と呼ばれている。ピューロランドでもたまにお見かけする。退任した2013年6月以降はあまりお見かけすることがなかったが、2014年6月以降はよく館内にいらっしゃるようだ。

井上COO

2013年6月から佐藤館長に変わり井上陽一COO、通称ケビンさんがトップを務めていた。もともとは副社長や鳩山さんとともに海外で仕事をされていた人で、ピューロランドの立て直しのために投入された逸材。

おそらく MBA をお持ちのはずで、外から見て正攻法の会社がやるであろう正攻法の経営を進めていったように見えた。そのため、マーケティングの専門家を招いて再建していった USJ と同じものが見られるかと思って期待していた。ケビンさんの経営についてはサンリオ第54回定時株主総会メモの「自分がしたかった質問」にまとめてあるので、そちらも参考に。

事実と推測の両方を書いていて、推測には間違いも混じっている。間違いのある推測については一部についてケビンさんからその推測は間違いで正しくはこうであると説明を受けたものもあるが、過去の記事について敢えて訂正は入れていない。事実と推測は読者が区別できるように記述しているつもりであり、推測が誤りだと知らされたことによって得られた情報は、外部から知ることができない情報のため、訂正を入れるということは外部から観測できない情報に基づいてしまうからである。

正攻法で進められていたが、テーマパーク事業は奥が深いもので正攻法が通じないという弱音を吐かれていたことが何度かあったが、はたらくばつ丸の序盤に書いたように経営上の数字は上向いていっていた。しかし改革の半ばであったが、株主総会で再任されなかったため、2014年6月で交代となった。退任後はプライベートでピューロランドに遊びに来ている姿をお見かけすることがある。

野村さん

2014年6月からは野村高章さんがトップを務めているようである。役職は何であるのか不明なので、ここではさん付けでお呼びしておくが、2014年11月2日の『ハローキティストリート・しまじろう広場誕生1周年記念ダブルアニバーサリーイベント』では「常務」と呼ばれていたので常務取締役なのだろう。

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サンリオショップの店員さんは高章さんと呼んでいることが多いようなので、以降では高章さんと呼ぶことにする。

高章さんのことは詳しくは存じ上げず、お話ししたこともないのだが、赤字続きだったハーモニーランドを黒字化した人であると聞いている。ピューロランド館内でもたまにお見かけすることがある。頻度は佐藤館長より低いかもしれない。夏祭の初日やキャラクター大賞発表日やオールナイトなど、特別なイベントがある日に様子を見に来ている姿を見かけることが多い。オールナイトの日にはカウントダウン中に終電検索をしていたけれども無事に帰れたのだろうか。24時を回ってから多摩センターから帰れる場所なんてほとんどなさそう。

ケビンさんのターゲット

ケビンさんのチケット改革についてはアフィリエイトプログラム説明会チケット施策2013秋冬にまとめてある。

ケビンさんによるチケット改革を勝手に解釈すると、まだピューロランドに来たことがないファミリー層を引き入れることに主軸を置いていたと思っている。ギフトゲートでの前売り券によるピューロランドへの誘導がそれである。そしてそのファミリー層が年に数回家族で訪れるのが理想的とし、クーポンでの不公平感をなくすことで理想的な状態が持続するようにしていた。

アフィリエイトプログラム説明会における顧客ピラミッドでは、レジャーファミリー層、カジュアルファン層、コアファン層、発信者(ブロガー)、の順に積み重なっていた。このピラミッドでは重点を置いていたのはレジャーファミリー層であった。

その改革において、年間パスポートはある意味邪魔な存在ともいえ、年間パスポートは2014年3月で廃止され、2014年4月からは平日限定パスポートを導入した。この平日限定パスポートはおそらく暫定措置で、2015年4月からは年間パスポートがなくなるものと自分は思っていた。年間パスポートがなくなっても、単になかったころに戻るだけのことなので、なくなっても構わないと思っていたし、なくしたほうがいいと思うことも多々あった。

高章さんのハーモニーランド黒字化

ハーモニーランドのことはあまり追っていないので詳しくは分からないのだが、ハーモニーランドもかつては赤字だったが、高章さんによって黒字化をしたとのことらしい。

今回の期間パスポートに関連することとして、ハーモニーランドでは年間パスポートが以前から破格である。大中小関係なくパスポート2900円に対し年間パスポートは5700円となっている。チケットブースでも年間パスポートは大きく宣伝されており、2度以上遊びに来るのならば年間パスポートにすべきと書かれている。

保持者特典も充実しており、年間パスポートの紹介者になるとグッズがもらえたり、各種クーポンも配っている。一方でピューロランドでも年間パスポート保持者に対して有料イベントの優先予約などの特典がありはしたが、あまりメリットはなく、ひっそりと特典は廃止になっていった。

赤字だったハーモニーランドで年間パスポートの値下げを行い、その一方で経費の削減を行って、トータルとして黒字へと持っていった高章さんがピューロランドに来るとどのような施策をしてくるのだろうか。

高章さんのターゲット

今回の期間パスポートは以前の年間パスポートよりも安くなっている。ハーモニーランドほどではないがとても安い価格設定になっている。保有者特典の商品5%割引はハーモニーランドと同じパーセンテージ。

高章さんはハーモニーランドと同様の施策をしてくるのではなかろうか。ピューロランドでは大人休日3800円で小人休日2700円なので、期間パスポートの大人10000円と小人8000円ならばどちらも年に3回で元が取れると宣伝をし、たまたま来たお客さんを期間パスポートに誘導してリピーターにする。ケビンさんが使っていた顧客ピラミッドで説明すると、レジャーファミリー層をカジュアルファン層に引き上げることに相当する。

あまりにもハーモニーランドと同じなので、ハーモニーランドのチケットブースにある年間パスポートの看板と同様の謳い文句が書かれた看板がピューロランドのチケットブースにも置かれるかもしれない。

雑感

予測していたチケット体系

2014年3月時点で自分が予測していたチケット体系は、年間パスポートと平日限定パスポートが廃止となるものだった。なので2014年9月末には株主優待のために100株ではなく1000株ぶち込んだりした。

次期館長が高章さんになるという噂が現実味を帯びてきだした2014年5月ごろには、ケビンさんが進めていたチケット政策が白紙に戻ってしまうのかもしれないと感じてはいた。年パスの復活くらいはあるかもしれないと予測のうちではあったが、値下げは予測外であった。

年間パスポートの復活および値下げについては、自分の観測範囲内では歓迎する人が多いように思えた。選択肢が増えてなおかつ値下げされているのならば消費者としては喜ばしいことだろう。

正直に言うと今回の復活と値下げの発表については自分は歓迎ではなく失望のほうが近かった。せっかく1年かけてチケット収入の健全化を行ってきたはずなのに、それを裏返す策に見えたからだ。高章さんはハーモニーランドの黒字化の実績がある人なので、単なる値下げと経費削減以外にも隠し玉があることを期待して待つ。

年間パスポートは別になくなってもよかったけれども、期間パスポートがあるのならばありがたく利用させてもらうつもり。デザインが3種類あるのもよい。デザインが複数あるので複数購入する人もいるだろうけれども、自分はとりあえずは1枚のみ。2016年4月以降は期間パスポートが継続するどうかすら不明だが、その時に2015年4月とは違うデザインかどうかで複数枚買うかどうかが決まるかもね。つまりは、続けるのならば毎年デザインを変えるべきだというメッセージ。

年間パスポートは期間拡大の対象外に変更

当初の公式発表では2014年12月5日以降まで有効な年間パスポートを持っていたら期間パスポートの期間も2014年12月6日から2016年3月31日までと延長されることになっていた。翌日には年間パスポートは対象外になり平日限定パスポートのみとなった。

この修正は公平性の面では正しいと思う。年間パスポートが廃止される月の2014年3月中に新規購入した場合には購入日に関係なく2015年3月31日まで有効という措置があった。例えば2014年12月31日まで有効な年間パスポートを持っていたとして、この措置で年間パスポートを追加購入した場合に人とそうでない人とで15000円分の出費の違いがあるのに結果として同じこととなってしまうのはおかしい。この例で措置に乗らなかった人は2015年1月から3月まで年間パスポートがなくてもよいという判断をしたはずで、その人たちを救済する必要はない。

ただ誰もが合理的に判断できるわけではないし、場合によっては出されている条件の意味を理解できていないこともある。2014年3月に年間パスポート追加購入か平日限定パスポート購入かの2択で迷っていた人が多数いらっしゃったが、よほどの特殊ケースでない限りこの2択で迷うのはおかしい。年間パスポート追加購入かなにも購入しない、もしくは、平日限定パスポート購入か何も購入しない、の2種類の2択ならば迷うのは理解できる。

平日限定パスポートの販売終了を11月21日にしたのは判断保留。ただ中途半端なのでさっさと打ち切るか継続するかのほうが良かったかとは思う。

有効期限が固定

今までの年間パスポートは購入日から1年間有効であったが、期間パスポートは平日限定パスポートと同様に購入日によらず期限が固定である。状況に応じて柔軟にチケット体系を変更できるので、有効期限が固定なのはよし。

年間パスポートだった当時から、他のパークだとこの値段での販売はいつまでと期限を切っていたりするから価格設定には期限を作るべし、と自分がつつきまくっていたことに効果があったのかは不明。

ところで平日限定パスポートの販売数の時期ごとの推移ってどうなってるんでしょう。期限が固定なので時間経過とともに価値が下がっていくのに値段が固定なので何らかの傾向がありそうなものだけれども。

レストランのキャパシティ

ピューロランドは屋内型テーマパークなので同時に入館できる人数には限りがある。一方で今回の値下げによって客数を増やそうという目論見をしているようである。現状ですらキャパシティが、特にレストランのキャパシティが足りておらず、再入場禁止となっても休日はレストランのキャパシティ不足を理由に休日のみ再入場が可能となっている。

レストランの今の能力のまま客数を増やしたらどうなるか。特にキャラクターフードコート。サンリオタウンのリニューアルになってからオペレーションが悪くなって混みすぎ。せっかくテーマパークに遊びに来ているのに、わざわざパーク外に出て食事したくないので本当に何とかして。

山の中にあるハーモニーランドと違ってピューロランドはパーク外に一般の飲食施設があるので、せっかく来てくれたお客さんが外で食事を済ましてしまうことも可能となっている。レストラン収入がキャパシティ不足で頭打ちとなりかねないのに来館者数を増やしてどうする。

利益も出してほしい

週刊ダイヤモンド2014年11月1日号でのサンリオ "感性経営" 試練の時の辻社長インタビューで「大きな目的は金もうけじゃなくて愛される会社になること」と答えていたりする。インタビューでの答えはピューロランドのことではなくサンリオ本社のことだろうけれども、利益はきちんと出してほしいんですよ。

支えているのは誰か

年間パスポートの値段がどうであれ、売り上げを支えているのは常連ではなく大多数の一般客ということを忘れてはならんのですよね。公共財的な考え方。

(2014-12-03 追記) 新年間パスポート

12月3日には、「期間パスポート」は中止になり「新年間パスポート」となった。期限が固定なのではなく、購入日から1年間有効な普通の年間パスポートである。値段も期間パスポートと変わらず大人10000円で小人8000円である。

平日パスポートを所持している場合には新年間パスポートの購入に関係なく2014年12月6日から2015年3月末までの休日設定日も利用できるようになる。

期間パスポートの発表があった11月17日から平日パスポート販売終了の11月21日までに平日パスポートを買ってしまったお客さんには個別対応となっている。どのような対応なのか不明だが、 https://twitter.com/popepopera/status/540052851452416000 によると2016年までの年間パスポートに換えてくれるようだ。差額の2000円がどうなっているかは不明。

発売開始の12月5日の直前になってまたもや方針変換をしてきたわけだけれども、最初からこのプランだったとはとうてい思えない。雑感のところで以下のことを書いたが、最初から新年間パスポートを後出しするつもりだったら、個別対応という面倒なことにならないようにしているはずである。

平日限定パスポートの販売終了を11月21日にしたのは判断保留。ただ中途半端なのでさっさと打ち切るか継続するかのほうが良かったかとは思う。

以前から年間パスポートを持っている人にとっては相対的に損な仕様となっているが、以前から年間パスポートを持っている人は文句を言わずか言いつつも買うからいいってことなのかな。

いずれにせよ発表後にコロコロ仕様が変わるのは不親切だとは思う。