キティに会いに行くためにピューロランドで開催された婚活パーティに参加してきた。運営会社は出会いの場を演出することには長けており、特に人数調整のノウハウには目を見張るものがある。ただクイズ作成には長けていなかったようだ。またピューロランドとの連携も望まれる。
突っ込みどころとしては、筆者はなぜキティに会うために婚活パーティに参加したのか、サンリオエンターテイメントのケビンさんと梅さんがなぜ乱入していたのか、キティとのツーショット権を獲得した3名の男性はなぜ権利を女性に譲らなかったのか、あたりか。
2014年3月15日の19時から21時にピューロランドの館のレストランにおいてIBJ社主催の『消えたキティちゃんを探せ!! 恋する☆謎解きコン in サンリオピューロランド』が開催された。募集人数は男女それぞれ120名の計240名であり、参加費は正規価格で男性8500円と女性6500円となっている。
ストーリーは、お誕生日会用のドレスを探しに行ったキティがお誕生日会の時刻になっても帰ってこないため、参加者が謎を解いてキティを探し出すというもの。キティは11月1日が誕生日のはずなのに3月にお誕生日会を行うのは謎。
値段も値段だし、キティしか出てこないし、どうしようかと迷っていたが、運営側の策略 (「参加者数」にて後述) によりまんまと参加させられてしまった。まあこれもキティに会いに行くため。
パーティの参加者は入館時には何もチェックを受けずに普段の退場口から名札ケースを受け取って入場するオペレーションになっていた。案内ではショップの利用などはできないとなっていたが、この日は19時閉館で入場は18時20分からなので事実上はできていた。
この時のレインボーホール送り出しグリはダニエルともんきちだった。婚活パーティにおいてはダニエルは恋敵なので、ダニエルを無視しもんきち側から退館。そして名札ケースを受け取って再度入館。
名札ケースを受け取っても開始まで時間があったのでレインボーホールでだべっていたら、たまたま通りかかった編集長にアニバーサリーシールを名札ケースに貼ってもらえた。ありがとうございます。
シナモンドリームカフェの横に受付があり、そこで身分証明書の確認をし、名札の中身を受け取って館のレストランへ向かう。名簿は男女別に申し込み順で並んでいるので、申し込み時刻を伝えると早く見つけてくれる。当日の14時に申し込んだ自分は男性リストの最後であった。19時開始で18時半まで申し込みができるとはいえ、当日に申し込む人なんてそうそういないのだろう。
受付を済ませ館のレストランに向かうと、入り口に先ほどレインボーホールでだべっていた常連さんたちが応援に来ていてくれていた。エレベーターで回り込んだのだろうか。応援されてしまったので頑張るしかない。
レストランの待合室で名札に記入を済ませる。名札には名前と好きな食べ物を書けるようになっている。名札の色は4種類あり、同じ色の人と9人か10人のチームを組んで、普段の館のテーブルを二つつないだテーブルでクイズに挑戦することになる。椅子はない。A列に1チーム、BCD列にそれぞれ4チームであった。
募集人数は計240人のはずであるが、実際の参加者数は130人弱であった。参加者募集ページを数日間人力でポーリングして以下の不思議な現象を観測していた。
- パーティ当日の一週間くらい前から女性枠は早割の1000円引きがなくなった。
- 2日前には男性枠の早割がなくなり、その時における参加者数は男性85人と女性90人であった。
- 1日前には女性枠が満員となり受付終了した。
- パーティ当日には男性枠の早割が復活した。 (このタイミングで自分は申し込み)
満員にもなっていないのに満員だと募集を打ち切ったり、無くなった早割が復活したり、もうキャンセルができない時期であるのにもかかわらず途中経過の人数が最終的な参加者数を大きく上回っていたり。素直にはこれらの現象を説明できない。
考えられることとしては、運営が男女の参加者数がなるべく等しくなるようにコントロールしていたのではなかろうか。この運営会社が開催する婚活パーティの売りの一つとして、男性と女性の数がほぼ等しくなることが掲げられている。運営会社は婚活パーティを数多く開催しており、どのように情報を出していけば参加者数をコントロールできるかのノウハウを持っているのだろう。サンリオピューロランドという場所、およびキティが登場するということからして、女性の参加者数が男性を大きく上回っており、そのアンバランスを解消するために先述の不可思議な動きがあったのだろう。
当日になっても空きがあって参加すべきか悩んでいた。たいていの参加者はまじめに婚活でパーティに参加しているはずなのに、キティに会うためにパーティに参加してよいのだろうかと。だが運営側の策略と思わしき早割の復活につられて申し込んでしまったのだ。
参加者の属性としては、自分のチームの範囲ではあるが東京と神奈川の在住で半々くらい。多摩市在住の人もいた。ピューロランドに来たことが子供のころだけでそれ以降ないのが約半数で、今回が初めてなのが約半数。自分は今年だけで13回目なので明らかに浮いている。
他のチームでもおそらく普段ピューロランドに来ない人が大多数と思われる。せっかくなのでチケット付きにすればよかったのに。さらにはチケット付きにしてパーティは早い時間に実施し、パーティ後に館内で遊んでもらうなどとすれば、出会いの場としてはよさそうに思う。
全参加者の中で普段ピューロランド内で見かける人は二名いた。一名はケビン井上COO。当日の昼頃、館内で雑談をさせてもらったときに、婚活パーティの参加条件は男性が36歳までということを伝えたら、悔しがっていたし、そもそも1週間前まで婚活パーティがあったことすら知らなかったようなので、おそらく申し込んではいなかったはず。受付でケビンさんの様子を見ていた参加者によると、ピューロランドで一番偉い人であるとパーティの受付で名乗って飛び入り参加したとのことらしい。ケビンさんは同席の人にも立場を明かしていたようだ。ちなみに名札に書かれていた名前はケビン井上で、好きな食べ物は豚汁。何度か喩えで銀座の鮨を出していたりしたのに、ずいぶんと庶民的だ。
もう一名もスタッフで若手男性社員の梅さん。入り口で見かけたときに、なぜここにいるのかと聞いたら、察してください、ここで働いているという事実を他の参加者には伝えないでください、との答え。ここにいることを秘密にしておいてください、ではなくだ。どう察すればいいのだろう。サクラとして参加していたとしたら、他にもサクラがいないと人数が少なくて意味がない。プライベートで参加していたとしたら同僚にばれるリスクを考えていなさすぎる。レストランスタッフは普段のスタッフと同じなので、こんなイベントに参加したら、参加したことが同僚に簡単にばれて、たちまちに広まってしまうような気がするのだが。説明を付けられない。次の節の「参加者の目的」で深掘りしよう。
普段館内で見かけるのは先の二名だけだったので、当日館内で会った常連さんたちに婚活パーティどうですかと宣伝活動をしていた自分は一つも成果を出せなかったようだ。
参加者の大半の目的は出会い目的だろう。そもそもが婚活パーティであるし、パーティの募集ページに書かれている宣伝文句は時折更新されていて、すでに申し込み済みの参加者の属性として30歳の公務員や23歳の看護師が書かれていた。これらは婚活ステータスが高そう。
それ以外の目的で耳にしたのは、クイズ好きでクイズ目的で参加していた人もいた。
自分は婚活ステータスの高い看護師(23)にはあまり興味がなく世界のアイドル(40)が目的。
そういえば先ほどの梅さんの目的は何だったのだろう。先述の通りサクラもプライベートも考えにくい。ただプライベートだとしても、他の婚活パーティではないピューロランドでの婚活パーティを選ぶ理由があったとしたらどうだろう。他の婚活パーティにはない要素、それはキティ。まさかキティにアプローチするために、あえてピューロランドでのパーティを選んだのだろうか。
(妄想開始)
レディキティハウスで一緒に働く梅さんとキティ。梅さんはキティへの想いをいまだ伝えられないでいた。梅さんは考えた。婚活パーティでキティに告白すれば想いが届くはずと。そして婚活パーティで皆が見守る中。
- 梅さん(青字): バレンタインデーのチョコレートありがとう。ホワイトデーの翌日になってしまったが、君に渡したいものがある。
- キティ(赤字): 何かしら。まあ指輪だわ。まさか。
- 梅さん: 君のためにわくわく広場のワークショップで作ったんだ。結婚しよう。
- キティ: うれしいわ。でも職場内で結婚したら、女性は退職しないといけないのが日本の慣習。
- 梅さん: 君は仕事とダニエルと俺とでどれを選ぶんだい。
- キティ: もちろんあなたよ。世界のアイドルをやめて普通の女の子に戻るわ。
- 梅さん: 一緒に行こう、星の世界へ。
パーティ参加者に祝福されながら、館のレストランを後にする二人。
(妄想終了)
まさかな。まあ普通に考えて調査、もしくはブログで使う妄想ネタの収集だろう。
チームの色に応じてクロスワードのような問題が配られ、問題を解いた後に赤チームは青チームと、緑チームは黄チームの解答を交換し合って、番号順に文字を拾うことで最終的な回答が得られるようになっている。問題用紙はチームごとに5問または6問あり、うち4枚は配られるが、残りの2問は館のレストラン内に貼られている紙を見て解くことになる。
クイズの質は決して高くない。解答用紙はクロスワードのように見えるが、問題間には何の関連はなく、単に並び方がクロスワードのように見えるだけである。スペルミスも残ったまま。問題に誤りがあって解答不能なため、イベント中に答えが発表されたりもした。答えが一意に定まらない問題もあったりで、デバッグしきれていない感がプンプン。問題を作り出したのは2月11日のようなので日数が足りなかったのか。
あとキティの好きな食べ物は何かという問題の正解がリンゴパイとなっていたが、正しくはアップルパイである。より厳密には、ママが作ったアップルパイである。ミカンとオレンジが別物であるように、リンゴとアップルも別物だろう。プロフィールに関するものは一字一句たがわないものを正解とすべきだ。初歩的なプロフィールが間違っているので、おそらくピューロランド側は監修をしていない。
婚活パーティにクイズの質を求めてはいけないのかもしれない。2012年11月から12月にかけて行われたSCRAP社の『ハローキティ謎解きプロジェクト ピューロ魔法学園へようこそ!』はクイズがメインで監修もしてあったため良い内容であった。特筆すべきはピューロランドに普段から通っている人にのみクイズが解きにくくなるように工夫がしてあったこと。
クイズに正解したチームは正解順の番号がつけられたカードが配られ、それ以降はフリータイムとなる。チーム数が13という奇数であるため、チーム間の答えを突き合わせるときに1チーム余ることになる。余るという事実を知らされていなかった赤のチームは青のチーム探しに奔走していたが、その赤チームに属していたケビンさんはついに業を煮やしてステージ上のマイクを使って青チームを探し出そうとした。
こんなこと一般客ではできんなあ。ケビンさんはチームメンバに立場を明かしていたらしいし、それだからこそできる手段。
奇数なのでマイクを使って青チームを探しても見つかるはずもなく、ここでようやく運営からチーム編成に誤りがあったことの説明が入り、青チームは二股をしてよいこととなった。クイズを解く際にチーム内にとどまらず他のチームとも交流できるようにした意図が裏目に出たようだ。
ビュッフェ形式だが料理は普段の館のレストランとは異なっていた。キャラクターバースデーパーティで出てくるワンプレートディナーに乗っているものに近いものがいくつか。普段サラダがある南側からデザートのある北側に向かってこんな感じ。
また久しぶりにローストビーフも提供された。普段の館のレストランではソフトドリンクは無料でアルコール飲料は有料となっているが、本パーティではアルコール飲料も無料となっていた。
しかしながらフリータイムでの会話で忙しく、ローストビーフ2枚とグラスビール2杯しかいただくことができなかった。婚活パーティは飯を食うものではないようだ。上記の写真での料理の減ってなさもそれを物語っている。
最終的な答えである「キティちゃんおめでとう」を参加者が声に出すと、キティはレストランの後ろから出てきてB列とC列の間を通ってステージへ。キティの衣装は ONE の普段着なので、珍しさはない。誕生日パーティのドレスという設定なのだから、『ハローキティのすてきなパーティ』の衣装だったりしたら感動ものだった。
最終的な回答にたどりついたときに配られた番号順でチームごとにキティとの集合写真を撮れるようになっていた。急いで問題を解く必要なんてなかった。
自分が所属していた青3チームは13チーム中3位となっており、3番目に集合写真を撮ることになった。チームのほかのメンバと同時にステージに上がったのに、キティは私を指さして驚いた表情をしていた。この日は朝のアニバーサリータイムでもキティに会っていたしなあ。普段からピューロランドに来ている人が来ることを想定していないパーティにこっそり参加してしまって申し訳ない。当日になっても空きがあったらつい申し込んでしまう。
チームごとの集合写真の後は、キティとじゃんけんを繰り返して勝ち残った3人のみがキティとツーショット写真を撮ることができ、キティからのハグもしてもらえる。じゃんけんでパーを出すキティ。
参加者は男女ほぼ同数であるのにもかかわらず、じゃんけんに勝ち残ったのはすべて男性であった。男性が勝ったのならば意中の女性に権利を譲るべきだ、というヤジが飛び交う中、勝ち残った3人はみな自身で権利を行使していた。ハグの時の照明はキャラクターバースデーパーティでのバースデーソングを歌う時の照明だったので、ちとうらやましかった。
3人がすべて男性であり、運営としてはツーショット写真やハグがあまりにも画にならなかったためか、じゃんけんで最後のほうまで残っていた女性一人を特別にツーショット写真とハグができるようにする措置が取られていた。まったく、お前らが譲らないから。まあ自分も譲りませんけどね。
キティは再びB列とC列の間を通って後ろから退場。C列とD列の間にしたほうがよかったのでは。後ろの方ではケビンさんと副編集長が翌日のシナモン晩餐会について打ち合わせをしており、その横を通るときにキティはケビンさんとハイタッチしていた。ケビンさんもだいぶオンステージでの振る舞いに慣れてきたように見える。
キティが退場したらパーティは終了となり、運営により帰れコールが発せられる。今すぐ帰らないと明日からピューロランドのスタッフとして働いてもらいます、と運営は脅しをかけていたが、まあやぶさかではない。
グループメンバとの今後の連絡用に LINE のグループ機能を使うことになった。どうやら今時の人は皆 LINE を使っているようで、その場でインストールとサインアップを行ったのは自分だけ。自分は情弱であり、なおかつ宗教的な理由により、LINE を使っていなかったからなあ。
パーティが終了した21時に館内を出ようとしたら、この日ライブがあった misono のファンの人たちがレインボーホールに屯していた。閉館時間から2時間も経っているのにずいぶんとがんばってらっしゃる。
館内を出た後、サイゼリアに移動し雑談。グループ内に同僚がいたことが判明。世間は狭い。
楽しいイベントではあったが、惜しむべきはファイナルカードがなかったこと。ファイナルカードという言葉が一般的かは知らないが、主催のIBJ社のイベントではイベント後に意中の相手の番号と名前を3つまで書くカードをファイナルカードと呼んでいる。このファイナルカードでマッチングが成立したらペアを個別に呼び出して結果が報告されるという仕組みを用意していることが多いようである。
今回の婚活パーティでもファイナルカードがあるのかと期待していたのだが、残念ながらなかった。パーティの参加者であるキティが一押しであるということで、第一志望を86番の「86ーキティ」にし、第二志望以降は真面目に書くつもりだったのだが、そのようなネタを仕込むことはできなかった。